黒ヒゲのおじさん
昨年と今年初めに放映されたドキュメンタリー番組「天国で逢おう」のディレクターをしていた込山正徳さんが、ポプラ社から『パパの涙で子は育つ』という本を出版した。
これは、同社のホームページで月二回のペースで連載していたもの(「僕はパパであり、ママである。シングルファーザー日記」)をまとめた本だが、私はWEB連載時から楽しみに読んでいた。
今は、込山さんからサイン入りの本が届くのを首を長くして待っている。
ちょうど、込山さんが再婚される前に、夏樹のドキュメントの撮影が始まった。
時々、込山さんは子連れで撮影に臨むこともあり、我が家の4人の子供達とも遊んでいたので、夏樹は、いつも込山家の子供達のことまであれこれ心配していた。
込山さんもちょうど苦しい時だったので、夏樹とも親密になれたのだと思う。
込山さんは小柄でヒゲ面。見た目はちょっと怪しげだが、実はとても心のある方である。
「ドキュメントの為に生まれて来た人だ」と、彼を紹介してくださったTVプロデューサーが言っていた意味が、取材を受ける過程でよくわかった。ドキュメントの取材には台本も何もないから、一見すると、ただインタビューしている、ただ撮影しているという感じにも写るのだが、実は込山さんの取材には深く彼の気持ちが入っているせいか、受けている側も何かに示されるままに、あるいは何かに突き動かされるままに、といった具合で進んでいってしまうのだ。
実は私は、そのドキュメンタリーの撮影時は、とても対応が悪かった。
「なんで、我が家がこんな大変な時にカメラなんて回すのっ!」という気持ちがまずあった。夏樹が叔母に「タマキの為にやりなさい!」と言われて引き受けたんだから、私も嫌だけど仕方ないという気持ちだった。
でも、今では取材していただいて本当に良かったと思っている。込山さんは生活の邪魔にならないようにやってきて、なにげなく話かけてきた。普通はカメラが回っていると思うと緊張するし、元々口下手なのに、もっとしゃべりがおかしくなる。ところが、彼はあまりに自然体で話しかけてくるので、私もいつしか世間話をするかのようについつい饒舌になってしまっていた。込山さんは本当に不思議な能力を持っているなあと、いまだに感じる。
ある時、時間の都合で込山さんに代わって編集者のタロイモくんからインタビューを受けた時は、お互い身近すぎて、照れまくりながらぎこちなく話してしまったのを思い出す。
インタビューって、インタビュアーによって全然違うものだなあとつくづく思う。
そんな黒ヒゲのおじさんの本が待ち遠しい(年があまり変わらないのに「おじさん」とはすみません)。
飯島寛子
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